グローバルレポート|中国での高級ブランドに関するウクライナ戦争の影響

Jing Daily 2022年3月17日 Ben Cavender

  • ロシアのウクライナ侵攻以来、多くの海外ブランドはロシア市場での運営を”一時停止”もしくは中止している。これは業界を問わず、BMWのような大手自動車会社から、マクドナルド、ほかレストラン、ナイキ、LVMH、エルメス、リシュモン、ケリング、シャネル、プラダといった高級ブランドグループも含まれる。そうしなければ、ロシア侵攻を懸念している核となる消費者の怒りを醸成するリスクを伴う。ユニクロは当初政治からは距離を置こうとしたが、西側諸国の消費者の激しい反発に合い、素早く戦略を変更した。
  • ロシア国内での高級品売上は世界の売上の5%程度に過ぎないが、ロシア運営のための何年にもわたる投資、新興市場での雇用など、店舗閉鎖はそれでも損失を伴う。今日、もし和平協定が結ばれたとしても、すぐにロシアでのいつものビジネスを行うことは難しいだろう。ロシアで起こっていることは、ブランドが戦争による経済の打撃を克服し、複雑な世界でビジネスの成功を維持することがいかに難しいか、そしてある市場の決定がいかに他の市場に影響を与えるかを物語っている。
  • 政治的リスクが高まる中、ブランドが国内消費者との関係をどのように維持してゆくかにより、今後の成長が問われることになる。ロシアとは違い、中国は、多くの高級ブランドにとって世界最大の市場であり、ロシアでの事業を停止している以上、中国の消費者との良好な関係を維持することがより重要になっている。これらの企業の多くは、現地での売り上げが落ちると壊滅的な打撃を受ける。その結果、中国の消費者は大きな力を持っていると言える。さらに ロシアのウクライナ侵攻をめぐるネットユーザーの対話は、欧米諸国とは明らかに異なり、「ロシアは追い込まれた」という見方がネット上で広く流布している。また、H&Mのような欧米企業の最近のコメント(新疆綿に関連して)はもちろん、Huaweiのような中国企業に対する過去の米国の制裁についても、中国の消費者は冷ややかに見ている。
  • この国で事業を展開する高級ブランドは政治からある程度隔離されており、(H&Mやアディダスのように)国産の代替品に取って代わられるリスクには直面していないが、世論は急速に変化することを学びつつある。そして、グローバルな問題に対するスタンスは、欧米市場の感情や認識だけでなく、記憶の長い、購入の有無で自分の意志を示す中国人消費者の感情も考慮する必要がある。

    中国におけるラグジュアリーの未来はまだ明るい。しかし、ブランドはこれまで以上に、グローバルなマーケティング・メッセージと戦略的決定がどのように受け取られるかを見極める必要がある。   

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