訪日観光・インバウンド
【USPジャパンの視点】
要約
① 世界旅行ツーリズム協議会がこのほど開催した年次総会・グローバルサミットにおいて、パンデミックで加速する旅行の新トレンドなどついて、世界のキーパーソンらが議論した。
② 米では「アウトドア体験、グランピング、アドベンチャートラベル、ヘルス&ウェルネス」、中国では「安全への高い関心、団体旅行の小型化に加え、予約から出発までの期間と旅行期間がいずれも短期化」が旅行トレンドとの発言があった。
③ 英国のデータ分析会社YouGovは、「レスポンシブル旅行を求めている人は世界で約3億人、レスポンシブルな商品に払う価格についての許容範囲は10%増まで」としており、「サステナブルかつリラックス、これを両立できれば勝者になれる」との見方を示した。
解説
3年ぶりに再会する訪日ゲストという恋人、その変化に合わせた付き合い方ができるか
「外国人観光客が戻ってくる!」
そんな大雑把なとらえ方ではダメなんだろうと思っている。
私たちはこの2年間で、ライフスタイル、価値観、仕事の進め方などの激変を経験してきている。そしてそれはツーリストひとり一人にも当てはまることだろう。
コロナ禍においてツーリストのそれぞれの母国では何が起こっていたか、どのような国策の中、どのような生活を送ってきたか、少なくとも訪日主要国のこの2年間のダイジェストはおさえておきたいところだ。それを知った上で出来る受入れは必ずある。
それと併せて、今回の記事のように業界内で語られるツーリズムトレンドはやはり重要なアドバイスのひとつだ。一見すると自社に関係ないようなトレンドワードでも、自コンテンツと掛け算することで新たなインバウンド対応アイデアが生まれたりする。
「相手の変化」と「直近のトレンド」、ここを押さえないと今まで仲良くしていた相手にも振られてしまうかもしれない…
【記事の概要】
世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)がこのほど開催した年次総会、グローバルサミットでは、パンデミックで加速する旅行の新トレンドや業務渡航市場の未来について、世界の官民キーパーソンらが議論。日本からは観光庁国際観光部長の金子知裕氏、JTB取締役会長の高橋広行氏がパネル・ディスカッションに参加した。
急回復見せる米国の旅行市場
「旅行・ホスピタリティ産業の回復は、コロナ禍で受けた打撃の激しさと同じぐらい急速に進んでいる」と米国市場の現状を評したのは、同産業に特化した投資会社、セルタレスのグレッグ・オハラ氏。米国運輸安全局の航空需要に関する数値やホテルの稼働客室当たり売上などの数字は、すでに2019年レベルを超えていることを例に挙げた。
レジャー需要における注目トレンドは、「アウトドア体験、グランピング、アドベンチャートラベル、ヘルス&ウェルネス。当社が投資する宿泊ブランド『ゲッタウェイ』では、郊外の自然の中で展開するキャビンが、業界トップレベルの稼働率となっている」とオハラ氏。業務渡航については、リモートワークや業務拠点の分散化が進んだことで、「(同氏が会長を兼任する)アメリカンエキスプレスGBTでは、ミーティングやイベント需要が出張を上回るペースで急回復している」と紹介した。
一方、中国マーケットの旅行トレンドについて、トリップドットコム・グループのジェーン・スン氏は「安全への関心が高くなり、団体旅行は小型化。ブッキング・ウィンドウ(予約確定から出発までの期間)と旅行期間がいずれも短期化している」と説明。中国発アウトバウンド市場については、「渡航規制が解かれたデスティネーションへの旅行需要は急回復している」と話す。例えば2021年第3四半期、欧州への入域規制が緩和されると、同社の欧州方面への航空券取扱いは前年同期比170%増に急増したという。
パンデミックは持続可能な旅行のきっかけに
WTTCによる2021年の調査結果から浮かび上がったトレンドの一つは、「あまり知られていないデスティネーションを旅行先として検討することが多くなった」(回答者の69%)。
こうした事例として、日本政府観光局(JNTO)が先ごろ、米国ニューヨークで開いたプレス向けイベントで、北海道や先住民族アイヌ文化を取り上げたことが話題に上った。
観光庁国際観光部長の金子氏は「パンデミック以前、外国人旅行者の訪問先は、全体の6割が東京、大阪、京都に集中しており、これ以外の地域への誘客が課題となっていた。特に北海道は、2023年アドベンチャーツーリズム・ワールドサミットの開催都市でもあり、北海道の食、文化、自然景観のプロモーションに力を入れていく」と話した。
またWTTCの同調査では、「カーボン・ネガティブ(CO2排出量よりも吸収CO2の量が多い状態)旅行に関心がある」回答者は全体の55%と控えめな数字にとどまった。この点について、英国のデータ分析会社YouGovの旅行・観光担当グローバルセクター・ヘッド、エヴァ・スチュアート氏は、「消費者は、(一歩進んだ)カーボン・ネガティブという言葉に馴染みが薄いのではないか。サステナブル、あるいはレスポンシブルな旅、と聞けば関心は高い」と指摘。
YouGovがモニタリングしているデータからは「パンデミックを経て、水やエネルギー問題への関心は高まっており、肉を食べる回数を減らす、ローカルプロダクトを選ぶなど、具体的な行動にまで変化は及んでいる」と同氏。その結果、「自然な流れとして、これからは旅行先や宿泊施設などを選ぶ際も、同じように考え、行動するだろう。加えて、旅行者自身もコロナで大変な経験をしているので、地域社会に対する共感力が高くなり、訪問先の地域に貢献できることへの関心も高い」と指摘。消費者に選択肢を提供し、考えを実践できるようサポートすることが、旅行業界の役割と訴えた。
同社推計によると、レスポンシブル旅行を求めている人は世界で約3億人。レスポンシブルな商品に払う価格についての許容範囲は10%増まで。スチュアート氏は「日常生活ではサステナビリティが定着している北欧でも、休暇になると、リラックスすることが優先される傾向はある。サステナブルかつリラックス、これを両立できれば勝者になれる」との見方を示した。
パンデミックは、「未来は変えられる」という希望も示してくれた、と話したのは、インドの旅行会社、TBOホリデイズのグロブ・バトナガ氏。「気候変動は、人間の力で逆回転させることもできるのだと考えるきっかけになった。空気汚染がひどいデリーだが、2週間のロックダウン後、空がクリアになり、町がきれになっていた。我々はサステナビリティについて議論するとき、本当に可能なのかと懐疑的にもなるが、自分の目で、実際にデリーの変化を見たことは大きな経験になった」。
【引用元】
https://www.travelvoice.jp/20220520-151153
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