インバウンド/持続可能性・SDGs
【USPジャパンの視点】
要約
① 英国では、2022年3月18日から新型コロナウイルスに関連する入国規制が全面解除され、ワクチン接種に関わらず、すべての旅行者が検査なしで入国することが可能になった。
② 英国政府観光庁CEOは「英国旅行業会のプレイヤーの多くが、サステナビリティを事業の中心に据えている。英国政府観光庁としては、サステナビリティ体験や商品を提供していくうえで、パートナーや旅行者をサポートしていく」と強調した。
解説
「今後12ヶ月のうちに海外レジャー旅行をする」は83%で過去最高を記録も…
英国政府観光庁は、ウクライナ危機については現在のところ大きな影響は見られないとしたが、東アジアのコロナ対応が回復スピードを鈍化させていることを指摘している。
2月に行われた旅行者意識調査における「1年以内に海外旅行を実施する」との回答は83%だが、2019年水準までは3年くらいかかる見通しを立てている。
また調査では、「目的地で公共交通機関を利用する」は61%から68%に上昇していることから、サステナブルツーリズムの意識のあらわれなのか、混雑した場所に対する抵抗感が薄れつつあるのか、とても興味深い結果である。
【記事の概要】
英国政府観光庁(VisitBritain)は、英国へのインバウンド旅行復活に向けて、旅行業界向け商談会オンラインイベント「ExploreGB バーチャル」を開催した。英国では、2022年3月18日から新型コロナウイルスに関連する入国規制が全面解除され、ワクチン接種に関わらず、すべての旅行者が検査なしで入国することが可能になった。
同庁のサリー・バルコムCEOは、「英国の旅行市場は完全に扉を開けた」と話し、英国政府の決定を歓迎。同庁としては、新たに立ち上げたグローバルキャンペーン「Welcome To Another Side of Britain(あなたの知らない英国へようこそ)」を軸に、長期滞在と地方への誘客を進めていく考えを示した。
このほか、世界的に環境保護への関心が高まっていることから、サステナビリティツーリズムを積極的に展開。「英国旅行業会のプレイヤーの多くが、サステナビリティを事業の中心に据えている。英国政府観光庁としては、サステナビリティ体験や商品を提供していくうえで、パートナーや旅行者をサポートしていく」と強調した。
2019年の消費額を上回るのは2025年か
「ExploreGB バーチャル」では、同庁リサーチ・アンド・フォーキャスト・ヘッドのリチャード・ニコルス氏が、最新の需要と今後の予測を明らかにした。
それによると、英国へのフライト予約は、オミクロン株の感染拡大が始まった昨年12月は、2019年比で80%前後のマイナスとなっていたが、年明けから徐々に回復、3月第2週には30%減にまで回復し、過去2年間で最高となった。なお、2月28日の週に限っては、37%減と回復は鈍化したが、「これはロシアによるウクライナへの侵攻の影響だろう」と見ている。
地域別では、北米からの予約の回復が著しく、3月第2週には2019年比16%減まで回復し、オーストラリアをはじめとするオセアニアも、ビジネス旅行の復活により、11%減まで急回復した。一方、東アジアは、大きなマーケットである中国が依然としてゼロコロナ政策をとり、日本を含めた他の国でもウクライナ危機による空域制限などの影響で、回復の兆しは見えず、90%以上のマイナスが続いている。
ニコルス氏によると、「ウクライナ危機については、現在のところ大きな影響は見られないだろう」とし、「フライト予約が現在のペースで続けば、最終的には予想を上回るのではないか」と見通した。
ただ、2019年レベルに戻るのはまだ数年かかるとの見立てだ。一人当たりの現地消費額については、長期滞在の増加とインフレによるコスト高によって、パンデミック前よりも高くなると見ている。
混雑への抵抗感も徐々に薄れる傾向に
このほか、今年2月10日から22日にかけて主要20市場で実施した旅行者意識調査の結果も公表。それによると、「今後12ヶ月のうちに海外レジャー旅行をする」との回答は83%となり、これまでの調査の中で最高の比率となった。一方、「すでに行き先を決めている」は43%にとどまった。
次の旅行の目的地については、全体の59%が欧州と回答し、そのうち英国は13%。欧州内での英国への旅行意向のシェアは23%で、遠距離市場は38%と平均を上回った一方、短距離市場は15%にとどまった。
また、「どのような旅行をしたいか」の問いについては、食事、有名観光地、歴史遺産、文化施設などが上位となっていることから、ニコルス氏は「多くの旅行者は以前のような普通の旅行に戻りたいという欲求がある」と分析した。
さらに、調査では、「たとえ有名観光アトラクションであっても、混雑は避ける」との回答は、前回の71%から66%に減少。「目的地で公共交通機関を利用する」は61%から68%に上昇していることから、「混雑した場所でのアクティビティに対する抵抗感も徐々に薄れつつあるのではないか」との認識を示した。
【引用元】
https://www.travelvoice.jp/20220329-150937
0コメント